7. スラ(神々)とアスラ(悪魔)

物質宇宙
ahaṁ sarvasya prabhavo mattaḥ sarvaṁ pravartate
私(バガヴァーン)は精神と物質すべての源であり、私からすべてが現わる。(バガヴァッド・ギーター 10.8)

私たちは現在物質界にいますが、その物質界そのものは、精神界の中にあります。物質界での私たちの活動はまるで夢を見ているようなものです.私達は誰でも夢を見ます。夢を見ているときは、その夢の世界にいるときはそれがまるで現実に起きているかのように様々な体験をします。自分が王様や女王様になったり、虎やサメに食べられたりしますが、朝目覚めればそれが夢だったことに気づきます。
物質界は精神界に現れる雲のような存在です。雲の現れは一時的です。始めがあって終わりがあります。同様に、物質界の現れも一時的で始めがあり終わりがあります。

mayā tatam idaṁ sarvaṁ jagad avyakta-mūrtinā
全宇宙は、私(バガヴァーン)によって,私(バガヴァーン)の未顕現の姿に展開する.(バガヴァッド・ギーター 9.4)

主は私たちの物質的な欲望を叶えさせるために,何百万もの宇宙を創造します: eko ‘py asau racayituṁ jagad-aṇḍa-koṭiṁ.(ブランマ・サンヒター 5.35)
物質宇宙の中に閉じ込められ,外から見ることができない私たちは,物質宇宙の構造を正しく理解することできません.宇宙の成り立ち・仕組み・構造・ルール(法則・ダルマ)を私たちに教えることができるのは,それらの創造主であるバガヴァーンだけです.

このエッセイの始めに,「物質の塊である肉体が動くのは,中に魂・ブラフマンがいるからだ」ということをご説明致しました.同様に物質の塊である宇宙は, viśvarūpa: 宇宙体というバガヴァーンの巨大な物質の体の現れで,主の意思によって活動します.
prabuddha-karmā daivena trayoviṁśatiko gaṇaḥ
prerito ’janayat svābhir mātrābhir adhipūruṣam
バガヴァーンの意志によって物質の23元素が起動されると,それらの結合が原初の人(バガヴァーン)の拡張分身である宇宙体の現れを引き起こす.(バガヴァッド・プラーナ 3.6.4)

idaṁ hi viśvaṁ bhagavān ivetaro yato jagat-sthāna-nirodha-sambhavāḥ
tad dhi svayaṁ veda bhavāṁs tathāpi te prādeśa-mātraṁ bhavataḥ pradarśitam
この宇宙そのものが,主(バガヴァーン)の現れであるが,一方で主は宇宙から離れているということを,有徳の君は知っている.主は,宇宙の始り,維持,終焉を引き起こされる.私は君にその概要を語ったに過ぎない.(バガヴァッド・プラーナ 1.5.20)

原子という物質の元素が活動しているのも,その中にバガヴァーンの拡張分身がいらっしゃるからです: aṇḍāntara-stha-paramāṇu-cayāntara-stham. (ブラフマ・サンヒター 5.35)

従って主は宇宙の中だけでなく,宇宙のすべてに遍満している原子の中にも存在します.こうしてバガヴァーンは,物質宇宙のあらゆる現象をコントロールしているのです.

mayadhyakṣeṇa prakṛtiḥ suyate sa-caracaram
この物質宇宙は私(バガヴァーン)の指示の元で動いている。(バガヴァッド・ギーター 9.10)

na ca mat-sthāni bhūtāni paśya me yogam aiśvaram
bhūta-bhṛn na ca bhūta-stho mamātmā bhūta-bhāvanaḥ
そして存在するものすべては,私(バガヴァーン)の中にいない.私の神秘力を見よ.私は存在するものすべての創造者であり維持者であるが,私自身はこの全宇宙にはいない.(バガヴァッド・ギーター  9.5)

現在地球は,NWO(新世界秩序)という人間社会の完全支配を目論んでいる秘密結社が,ほぼ権力の大部分を手中に収めています.自分たちの野望が世界中のその他大勢の人々に知られると、それが実現できなくなるから、秘密裏に影に隠れてコソコソと悪事を行っています。
世界の教育を牛耳っているこれらの支配層の人々は,自分たち以外の一般の地球市民に対して,正しい情報・知識を教えたりはせず,誤った知識を施してそれが正しいと洗脳します.このような誤った知識や不完全な知識が、世界中の人々の一般常識となります。こうして一般の地球市民たちを自分たちに服従しやすいように,無知のままでいさせるのです.

宇宙に関する知識・情報は,NASAによってコントロールされています。NWO(新世界秩序)を主導している者たちは、NASA(アメリカ航空宇宙局)も支配下に置いています。NASAの重要な役割の一つが、無神論・唯物主義という誤ったドグマ(教義)に真実味をもたせることです。
従ってNASAが垂れ流す情報を鵜呑みにすれば、ただ騙されるだけです。 地球や宇宙の構造は,バガヴァーンがヴェーダで私たちに教えているものとは,全く異なります.この詳細は,「わかりやすいヴェーダーンタ哲学入門(仮称) 」で述べることにしますので,ここでは概略のみをお伝えします.

宇宙は,天上界・地上界・地下界の3つの世界に分けられます.私たち人間が住んでいるところが地上界です。そして私たちが夜の星空に見ることができるのが天上界です.すべての星に,その環境に応じた生命体が住んでいます.地球の生物学がすべての天体に当て嵌まると考えるのは,井の中の蛙と同じです.この天空の世界である天上界には、デヴァタ(スラ: 神々・天使)やデヴァタに準ずる神性な魂たちが住んでいます。天上界はブラフマン主義で、階層によって物質的な機械文明に頼ることがなくなります。例えばシッダ・ロカでは、魂にもともと備わった神通力を用いて生活しています。
そして私たちの住んでいる地上界の下には、太陽や月といった神聖な光の恩恵を受けることができない魔性の者たち(アスラ: 悪魔・鬼)が住んでいます。ここは物質主義で、地上界の私たち人間より遥かに高度に進んだ機械文明が発達しています。

ラ・デヴァタ: 神々・天使と天上界
この宇宙の中には,物質宇宙の活動や業務を補佐する無数のスラ・デヴァタ: 神々・天使がいます.これらのスラ・デヴァタは,バガヴァーンから現われます: aham ādir hi devānāṁ.(バガヴァッド・ギーター 10.2)

スラ(デヴァタ): 神々(天使)は,主の命令に従って,巨大な宇宙の様々な森羅万象を司っています.例えば,太陽や月の活動,無数の天体の運行,雨や風や海や大地等の様々な現象を間接的にコントロールしています.その業務内容に応じて,神々は,太陽神,月神,風神,地母神や海神などと呼ばれます.従って神々はすべてバガヴァーンに仕える僕であり,役職名なのです.

バガヴァーンは、物質宇宙の中で,「自己中心的な物質の欲望が癒えて,バガヴァーンとの関係を改善させ,本来の魂の健康を取り戻しつつある魂たち」の中から,物質宇宙の業務を任せるにふさわしい適格者を選び、様々な神々・役職に任命するのです.これはちょうど,総理大臣が議員の中から各大臣を任命して権限を与えて,自分の意向を繁栄させて国政を動かすのに似ています.

従って,この地上界にいる人間たちも,天上界にいる神々たちも,それらの肉体の中にいるのはすべて同じ兄弟姉妹の魂たちです.人間の肉体は,大地の要素を多く含んだ粗雑なものですが,神々の肉体はエーテルの要素を多く含んだ精妙なものです.土・水・火・氣(風)・エーテルこれらの5大元素が、私たち魂が纏う上着の部分を構成していますが、これらの5大元素の配合の比率が天体によって異なります。地上界にいる私たちの上着の肉体は、金属・非金属という土の要素が最も多いですが、天上界の神々の上着の肉体は、5大元素の中で最も希薄なエーテルや、或いは氣(風)の要素が多くを占めている為、私たち土の要素でできている肉体の眼では認識することは非常に困難です。けれども精神的視野を発達された聖なる人たちは認識することができます。

天上界であろうと、地上界であろうと、地下界であろうと、これらの世界にいる生きとし生けるもの・全生命体の物質の肉体の中に入って動かしているのは,魂・ブラフマンです.
地上界で人間として生まれた魂が,来世昇進して神々として転生することを望み,この現世で徳を積み,善行を行い,その行動の内容がバガヴァーンに認められたら,その魂は人間の肉体を終えた後,次の生で神々の中の一人として誕生する機会が与えられます.
同様に,神々として生まれることはできなくとも,善行に励んだ生き方をした者は,神々がいる天上界の住民に生まれる機会を得ます.

自己中心的な意識が浄化され心が清らかで愛に満ちた魂たちだけが, 地上界の何百・何千倍もの最高レベルの感覚満足が楽しめる天上界,俗に言う天国に行くことができます.このような資格がなければ,天国に転生することはできません.従って死後,誰でも天国に行けるのでは決してありません.
しかし,私たちより精妙な肉体を纏った神々と言えども物質の肉体を纏っている限り,寿命があります.神々も物質宇宙のルール・ダルマに縛られ,時間によって支配されるのです.

従って,神々が宇宙の最高の支配者ではありません.神々はあくまで2次的な支配者です.地上界で人間として活動した善行の蓄えが尽きると,再びこの地上界に落ちてきます: kṣīṇe puṇye martyalokaṁ viśanti. (バガヴァッド・ギーター  9.21)

アスラ・悪魔・鬼
私たちカルマを作ることができる地上界の下には,太陽の光の恩恵を受けることができない地下界があります.ここに住む生命体は,天上界に住む生命体と全く正反対の,魔性な者たちです.この地下界にいる生命体たちは,アスラ: 悪魔や鬼と呼ばれます。
このように物質宇宙には,神々・天使に代表されるような神性な者・スラと,悪魔・鬼に代表されるような魔性な者・アスラの2種類います: dvau bhūta-sargau loke ’smin daiva āsura eva ca (バガヴァッド・ギーター 16.6)

アスラ(悪魔・鬼)たちは、自己中心的な欲望を満たそうとすることしか考えていない自己偏愛的な性質を発達させた者たちです。つまり、物質の病を最高潮にこじらせている状態なのです。けれども、バガヴァーンは、物質宇宙にいるすべての生命体の父です。
sarva-yoniṣu kaunteya mūrtayaḥ sambhavanti yāḥ
tāsāṁ brahma mahad yonir ahaṁ bīja-pradaḥ pitā
クンティの息子よ、宇宙に存在する生命体(物質の肉体を持ったもの)がどのようなものであろうと、それらは物質エネルギーという子宮から生じ、私(バガヴァーン)が種(ブラフマン・魂)を植えつける父だ。(ギートパニシャッド 14.4)
従って、すべての魂の父であるバガヴァーンはこのように語っています:「私(バガヴァーン)は、すべての生命体に対して平等だ。私は誰も憎まず、依怙贔屓もしない。(バガヴァッド・ギーター  9.29)」: samo ‘haṁ sarva-bhūteṣu na me dveṣyo ‘sti na priyaḥ

けれども主は、私たちの為に、アスラ(悪魔・鬼)という魔性の者たちの存在、そしてその心理や行動体系を教えてくださいます。何故なら、善良で神性な者は魔性の者のことを知らないからです。そして「皆、自分のような良い人ばかりだ」と思うのです。
反対に、自分より弱い人間を支配し利用しようとする魔性の者は、人は皆自分と同じように邪悪な心を持っていると警戒し、相手を出し抜くために、相手の心理を研究し、弱点を探ろうとします。
主はこの理由から 善良で神性な者 の為に、魔性の者たちのことについて教えてくださいます。以下はその抜粋です。

pravṛttiṁ ca nivṛttiṁ ca janā na vidur āsurāḥ
na śaucaṁ nāpi cācāro na satyaṁ teṣu vidyate
悪魔的な人間は何が正しい活動で何が誤った活動かが分からない.そして心の清らかさも,適切な振る舞いも,真実さもない.(バガヴァッド・ギーター 16.7)

cintām aparimeyāṁ ca pralayāntām upāśritāḥ
kāmopabhoga-paramā etāvad iti niścitāḥ
āśā-pāśa-śatair baddhāḥ kāma-krodha-parāyaṇāḥ
īhante kāma-bhogārtham anyāyenārtha-sañcayān
感覚器官を満足させることに溺れているために,死ぬまで心配が尽きない.感覚満足のために,何百もの欲望のロープに縛られ,肉欲と怒りに駆られ,不正な方法で金を獲得する.(バガヴァッド・ギーター 16.11-12)

idam adya mayā labdham imaṁ prāpsye manoratham
idam astīdam api me bhaviṣyati punar dhanam
「今日,私はこれだけの富を獲得した.そして次の私の望むものも手に入れるだろう.こうして富が益々増えていく.(バガヴァッド・ギーター 16.13)

asau mayā hataḥ śatrur haniṣye cāparān api
īśvaro ’ham ahaṁ bhogī siddho ’haṁ balavān sukhī
私は,あの気に食わぬ敵を殺した.そして他の気に食わぬ者も殺す.私は支配者だ,享楽者だ.私は成功者で,力を有し,幸福だ.(バガヴァッド・ギーター 16.14)

āḍhyo ’bhijanavān asmi ko ’nyo ’sti sadṛśo mayā
yakṣye dāsyāmi modiṣya ity ajñāna-vimohitāḥ
私は金持ちで,私の家系は尊い.私と同等な者がいようか? 私は社会に貢献し,慈善を行い,それによって心の満足を得る.」このように魔性の者たちは,無知によって自分を偉大な人間と勘違いする.(バガヴァッド・ギーター 16.15)

ahaṅkāraṁ balaṁ darpaṁ kāmaṁ krodhaṁ ca saṁśritāḥ
mām ātma-para-deheṣu pradviṣanto ’bhyasūyakāḥ
偽の自我(自分を肉体と同一視し,自分を偉大だと思っている意識状態),力(暴力・権力・財力),自尊心,欲望,怒りに駆られ,魔性の者は,私(バガヴァーン)を嫉む.その私はその者の肉体や他者の肉体の中にもいる.そして魔性の者は,本物の宗教を攻撃する.(バガヴァッド・ギーター 16.18)

tān ahaṁ dviṣataḥ krūrān saṁsāreṣu narādhamān
kṣipāmy ajasram aśubhān āsurīṣv eva yoniṣu
このような敵意に満ち残忍な心を持つ者は,不吉で最低の人間だ.私(バガヴァーン)は,このような者たちを絶えず悪魔の種族の中に誕生を繰り返すように投げ入れる.(バガヴァッド・ギーター 16.19)

以上、第7章 スラ(神々)とアスラ(悪魔)